記事の詳細

今日は、日野瑛太郎さんによる
「定時後の“帰りにくい空気”との向き合い方」について考えたいと思います。

日本の会社では長時間残業が常態化していて、不満に感じている人がとても多いと思います。
ほとんど全ての人が「残業は嫌だ」と思っているはずなのに、残業はなかなかなくなりません。
会社によってはもはや残業状態がデフォルトになり、
定時に帰る人なんて1人もいないという所すらあるのだそうです。

長時間残業が働く人個人の心や身体に悪影響を及ぼすことは言うまでもありませんが、
長時間残業は個人を超えて、チーム全体にも悪影響を及ぼすのだそうです。

残業が常態化しているチーム内の雰囲気は悪くなり、生産性も著しく低下します。
あまりにもその状態が長く続くと心や体を壊して離脱する人が出始め、そのことが更にチームの状態を悪化させるのです。
チームにとって長時間労働は明らかに「悪」とされるのです。

では、どうすればチームは長時間の残業を回避出来るのでしょうか。

*■業務効率化だけで残業はなくならない*

残業が発生する理由は2種類存在します。

1、純粋に業務量が多すぎることで発生する残業、
2、職場の「帰りにくい空気」が原因で発生する残業

残業の話が出るとよく
「業務を効率化して早く帰れるようにしよう」という意見が出ますが、この案は前者の問題しか解決しません。
「帰りにくい空気」 が蔓延する職場では、どんなに業務効率化をして仕事の生産性を上げたとしても、誰も定時後に帰ろうとしなければ、やはり帰りにくい空気は残るので
結局は付き合い残業せざるを得なくなります。

また、例え業務を効率化して単位時間当たりにこなせる仕事量が増えたとしても、
それで空いた時間にまた違う仕事を新しく振られるとしたら、結局は同じように残業しなければなりません。
業務効率化だけでは、残業問題の解決策として不十分です。

それよりも大事なことは、
*「定時が来たらよほどのことがない限り帰る」*
*「プライベートの時間まで仕事をするなんてありえない」*
*という価値観をチーム内に浸透させること*です。

残念ながら、多くの日本の会社は
「定時が過ぎてもみんなが頑張っているなら自分だけ 帰ってはいけない」
「よほどのことがなければ仕事はプライベートよりも優先される」
といった価値観が蔓延していると思いますが、
そのような会社では、どんなにハイパフォーマンスで働いたとしても、気持ち良く定時帰宅するわけにはいきません。

「頑張って効率よく働いてもどうせ定時には帰れない」のであれば、当然ながら生産性を上げる努力もされなくなっていきます。
「日本人は世界の中でもかなり長時間働いている人たちなのに生産性は著しく低い」
と言われることがありますが、そうなってしまう原因はこの点にあるのだそうです。

「生産性の低い長時間労働」は言わば人生のリソースの無駄づかいです。
そうならないためにも、まずは職場の空気の問題を再優先で解消しなければなりません。

*■チームメンバーと、じっくり残業について話し合おう*

職場の「帰りにくい空気」を払拭するためにおすすめなのは、チームメンバー全員で一度じっくりと残業について話し合うことです。
「帰りにくい空気」は、結局のところルールが明文化されていないことから発生します。

例えば、

「定時は18時で、その時間になったらよほどのことがない限り帰って良い。
他の人が残っているかどうかは関係ない。その帰宅をとがめることは許されない」

というルールがチーム内で明示的に合意されていれば、残業について空気を読んで判断する余地がなくなるので、気兼ねなく「定時帰宅」が出来るはずです。
そのような「残業についてのルール」をチームで決めてしまうのです。

ルールを決める際には、例えば以下のケースについてどうするのが望ましいか、行動方針を話し合うと良いでしょう。

*1. 定時は何時なのか

2. 定時後に残業しなければならないのはどのようなケースか

3. 定時後に他人の仕事を手伝うべきか否か

4.定時後に会議等を入れる可否

5. 定時後に仕事を依頼する可否*

これらについて話し合う過程で、「暗黙のルール」は「明示的なルール」に変更されます。
なお、意見が割れてしまった場合は、なるべく残業について消極的なものに決定するようにします。

例えば、「3.定時後に他人の仕事を手伝うべきか否か」という問題について、
1人でも「手伝わなくてよい」と考えている人がいるなら、チームのルールは「手伝わなくてよい」にするのです。

もっとも、建前ではなく本音で話し合えば、多くの人は「つきあい残業」なんてやめたい、
定時になったら気兼ねせず帰りたいと考えているはずです。

「自分だけ先に帰るとよく思われないだろうなぁ」と勝手に推測する前に、
実際に本当にそうすべきだとみんなが思っているのかどうか、話し合って確かめてみる価値は十分あります。

*■アウトプットを増やしたいなら、残業する前にやれることはたくさんある*

1日8時間、週40時間という労働時間は、実は非常に長い時間です。
残業をするというのは、つまりこの週40時間だけでは足りないという意味なのですが、
果たして本当にそんなことはあるのでしょうか。

目の前の仕事が終わらない、チームの目標が達成出来ないという場合には、
残業という手段を導入する前にまだまだやれることはたくさんあるはずです。
ヘタに残業を導入するよりも、仕事の優先度を組み立て直したり、不要な会議を減らしたりする方が、効果的なアウトプットを増やすという意味では何倍も意味があります。
残業はあくまで最後の手段であり、安易に頼るべきではありません。

日本には毎日のように残業をしているチームが、うち以外にもたくさんあると思いますが、これが普通だと思ってはいけないのですね。

チーム内で残業が恒常的に発生しているということは、仕事の進め方やチーム内の人員配置など
どこかに問題があるということだそうなので、残業はチームがうまくいっていないことを知らせるアラートだとも言えるかもしれません。

アラートが来たらそれを放置せずに、優先的に対処するようなチームでありたいですね。

関連記事

おすすめ記事

登録されている記事はございません。

ページ上部へ戻る