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さて、突然ですが、皆さんは
「メロンパンの皮焼いちゃいました。」という商品を食べたことがありますか?
小さい頃、メロンパンの皮ばかり食べて、中身のパンの部分が余ってしまったりしていた私のような人間の為の商品です。

製造は、パンで4割のシェアを占める山崎製パンです。
その山崎製パンによる2014年に発売のヒット商品「メロンパンの皮焼いちゃいました。」が、「皮」だけのお菓子にも関わらず、なぜ1か月で1300万個売れたのかをご紹介したいと思います。

「メロンパンの皮焼いちゃいました。」

ちょっとおふざけなネーミングですが、れっきとした商品名です。
その名の通り、サクサクとしたメロンパンの「皮」の部分だけで成り立っています。
2014年10月、関西限定で発売されると、ネットやツイッターで「夢のような商品」と人気に火が点きました。

しかし、そもそもメロンパンの「皮」だけを商品化するという奇妙な発想は、一体どこから生まれて来たのでしょうか?

「大阪第二工場から生まれました。
メロンパンの製造ラインの稼働率を上げるため、 関連の新商品を企画できないかというのが出発点でした」

と同社営業統括本部マーケティング部の斉藤高志氏(43)は振り返ります。

メロンパン好きの工場勤務スタッフには女性が多かった為、生産現場だけでなく総務や経理も含めた女性チームで自由な意見を出し合ったそうです。

「『メロンパンはおやつに食べるには大きすぎる』『いつも皮だけ剥いで食べる』
『中に惣菜を入れてみたい』など、想像もつかない意見が出てきたのです。
最終的に、メロンパンの美味しさは皮のサクサク感にある、 ということでテーマを絞り込みました」

「正直、本社ではこれほどヒットするとは予想していませんでした。
発売当初はコンビニなど店舗から入る注文数も、決して目立つ数ではなかったのです」

本社の営業やバイヤーですら読み切れなかった人気。
しかし、ツイッターによる口コミが口コミを呼び一日100個売れる店、まとめ買いをする客が続出しました。
注文が殺到し全国販売へ踏み切ると、11月の1か月間に何と1300万個も売れたそうです。
かの大ヒット商品「金の食パン」が同じ個数を販売するのに約4ヶ月かかったのを見れば、
「メロンパンの皮~」のロケットスタートがいかに凄まじかったかが分かりますね。

「SNSで火が点くというのはこういう現象なのかと、慌てて注文を追いかけ増産しました」

と斉藤氏も目を丸くしました。そして半年間で3200万個を販売し、今では定番商品の仲間入りとなりました。

「弊社は年に約400個の新商品を出しますが、生き残って定番となるのは3~4%程度。
この商品は堂々たるヒット商品と言えます」

(400個も新商品出してるんだ・・と思ったのは私だけでしょうか・・)

「メ ロンパンの皮~」のヒットは、地方工場の独自開発力に負うものでした。
見えにくい消費者の細かな欲求を生産現場が汲み取ることが出来た成果でした。

「弊社の工場は卸業者を通さず流通業者や小売業者に販売する機能を持っています。
デイリーヤマザキなど直営の店舗もあります。
消費者の声を直に聞き取るというエリアマーケティングの精神が根付いているんです」

ヤマザキの地方工場は、細かなニーズを汲み取るマーケティングの窓口としても機能していたのです。

また、「メロンパンの皮焼いちゃいました。」というシャレの効いたネーミングについて、

「本社の私たちでは考えつかないと思います」

と斉藤氏は話しています。

「もし本社で考えたら、『スウィートクッキー メロン風味』みたいな平凡な名前になってしまうでしょうね。
それではヒットしたかどうかわからない」

地方工場の優れた開発力をリスペクトする本社の姿勢が、その一言に滲み出ています。

確かに『スウィートクッキー メロン風味』と『メロンパンの皮焼いちゃいました。』ではイメージやインパクトが全然違いますね。
前者だったら私も買わなかったかもしれません。

私達が普段買っている身近な商品も、このように試行錯誤して生まれた名前だと思うと愛着が湧いて商品を見る目が少し変わるかもしれません。
スーパーに行くのが楽しくなりそうですね!

個人的には、「バームクーヘンの白い部分だけ剥いちゃいました。」が商品化する日を待ってます。

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